Q1. MTAとは?
A1. MTA(Mineral Trioxide Aggregate)とは、ケイ酸二カルシウム・ケイ酸三カルシウム・アルミン酸カルシウムを主成分としたケイ酸カルシウム系の歯科用セメントのことです。
Q2. (従来のシーラーにない)MTA特有の特長とは?
A2. MTAは水と反応してカルシウム(Ca++)とアルカリ(OHー)を放出します。
●根管内でアルカリイオン(OHー)を放出するので抗菌性があります。
●Ca++は体液中のリン酸イオンと反応し、シーラー表面にアパタイト結晶を析出してアパタイト・バリアーを形成します。
Q3. アパタイト形成の臨床的意義とは?
A3.●従来のセメント系シーラーでは、充填後に根管壁との間にすき間を生じていましたが、
MTA系シーラーでは充填後、このすき間をアパタイトが析出して封鎖するので根管壁封鎖性が向上します。
●根尖孔が大きい症例においても、根尖部歯周組織と接するMTA系シーラー表面は生体親和性のアパタイト・バリアー(防御層)で覆われるので、根尖孔外歯周組織(歯根膜細胞の増殖)に害を及ぼすことはありません。
Q4. MTA系シーラーと水酸化カルシウム配合シーラーとの違いは?
A4. ●水酸化カルシウムは体液(リン酸イオン)と反応してもアパタイトを析出しないので、根管壁封鎖性はありません。
●水酸化カルシウム配合シーラーは、吸水してアルカリ(OHー)を放出し続けるので抗菌性はありますが、細胞毒性があるため根尖部歯周組織での生体親和性はありません。
Q5. MTAマルチシーラーが低価格であることの根拠は?
A5. MTAマルチシーラーのセット(粉:15g, 液:10mL)標準価格は9,900円です。
(セット付属品:粉計量カップ、スパチュラ、練板紙)[グラム単価=396円/g]
*従来のMTA系シーラーの標準価格は全て1万円以上[グラム単価=1,900~5,250円/g]
Q6. MTAマルチシーラーの他の特長は?
A6. マルチな稠度、練和が容易、硬化膨張、抗破砕性、ペーストの耐wash out性、除去容易、
歯の変色なし、非ユージノール・非レジン系組成などです。
詳しくは、パンフレット(裏面)をご覧ください。
Q7. 練和方法?
A7. 附属の計量スプーンを用いて粉材(すりきり1杯)と液材1滴を練板紙に採取し、付属のスパチュラを用いてセメント練和します。
Q8. 根管内への移送方法は?
A8. 練和ペーストは、ポイント、レンツロ、ノズル付き注入器などで根管内へ移送できます。
Q9. 根管充填方法は?
A9. メインポイントだけのシングルポイント充填法(超音波を併用)がお薦めです。
従来の側方加圧法や垂直加圧法にも使用できます。
Q10. 再根管治療時の除去性は?
A10. 従来のユージノール系及び非ユージノール系シーラーと同様にリーマーファイルでの除去が可能です。
Q11. 覆髄時の練和・充填方法は?
A11. 附属の計量スプーンを用いて粉材(1.5~2杯)と液材(1滴)を練板紙に採取し、付属のスパチュラを用いてセメント練和
し通法により充填します。 充填ペーストの表面を湿綿球で賦形すると、約1分で表面硬化します。
Q12. 逆根充に適応できますか?
A12. 本邦での薬機法上、逆根管充填として認められた根管充填シーラーは存在しません。
水と練和して硬化する(水硬性の)MTAや、吸水して硬化するワンペーストMTAも逆根管充填材としては認められてい
ません。なお、水硬性のMTA製品はすべて覆髄材の分類であり、根管充填シーラーとしては認証されておりません。
Q13. 保管方法は?
A13. 室温保存(凍結を避けて4ー24℃)です。吸湿を避けるために使用後は速やかにキャップを閉めて保管し
てください。
Q14. MTAマルチシーラーの使用期限は?
A14. 正常な保管条件下(直射日光や凍結を避けて、室温で保存)で製造後3年間です。
Q15. 練和後ペーストの使用可能時間はどれくらいですか?
A15. 標準ペースト(1杯1滴)の場合=約10分、 固練りパテ状(2杯1滴)の場合=約5分です。
Q16. 充填後、どれくらいの時間でアパタイトが析出するのでしょうか?
A16. 疑似体液に浸漬3日後、材料表面にアパタイト結晶が析出した電子顕微鏡画像が神奈川歯科大学(歯内療法)から
発表されています。(*パンフレット表紙に掲載)
Q17. X線の造影性はありますか?
A17. はい、4.5mm(1杯1滴)〜 5.5mm(2杯1滴)の造影性があります。(*パンフレット裏面に掲載)
Q18. MTAマルチシーラーは保険適応として使用できますか?
A18. はい、従来の根管充填シーラーと同様に保険適応のシーラーとして使用できます。
Q19. 1セットでシーラーとして何回、使用できますか?
A19. 粉1杯(すり切り)=約0.09g、 液1滴=約0.03g であり、シーラーとしての標準練和比はP/L=3.5
なので、計算上は最大142回で粉を消費することになります。
あくまでも参考値ですが、実践的に粉を少し多め(1.5倍)に採取することを想定すれば、94回使用できます。
Q20. MTAマルチシーラーの粉剤を、水で練和して使用できますか?
A20. 使用できません。 MTAマルチシーラーの粉剤を精製水と練和しても正常に硬化しません。必ずMTAマルチシーラーの液
剤を使用してください。
Q21. MTAの含有量は?
A21. MTAマルチシーラー粉剤中には約50wt%のMTAが含まれています。 各粉液比でのMTA含有量は下記の通りです。
P/L=3.5のとき約39wt%
P/L=4.0のとき約40wt%
P/L=6.0のとき約43wt%
Q22. X線造影剤の種類は??
A22. X線造影剤として生体親和性に優れた酸化ジルコニウムを使用しています。
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