ゾル化とゲル化
歯科用寒天印象材は、その約80%が水分で出来ているコロイドです。
寒天で印象採得ができるのはコロイドの特性であるゾル化とゲル化が大きくかかわっています。
・図1左側の様に加熱すると約85℃で寒天印象材は液体状のゾルに変わり始めます。
ゾルの状態では、寒天繊維はバラバラで動きをもちます。
・逆に図1の右側の様に冷却すると約70℃で流動性を持たないゲルへの変化が始まります。
ゲルの状態になると、寒天繊維が網目状になって動かなくなります。
・寒天印象材として使用する場合には60℃~64℃でストレージ(保温)して、50℃以下に下がる前に操作をします。
図1 歯科用寒天印象材の変化
寒天とアルギン酸の結びつき
歯科用寒天印象材とアルギン酸印象材は化学的に結合してくっつく訳ではありません。
正しく剥がれない様に結びつけるには、両印象材の硬化のタイミングを一緒にする事が不可欠となります。
寒天印象材は温度で硬化します。
アルギン酸印象材は時間で硬化します。
寒天とアルギン酸が剥がれやすいと言う場合は、アルギン酸の水分量を正確に測るのは当然の事として、寒天印象材の温度が下がり過ぎない様に、やや多目に寒天印象材を注入するだけで、解決する事があります。